それから私と夏樹君と涼君と尚樹君で、遊びに行った。
場所も決めてなかったのに、会った事も初めてだったメンバーなのに。
とても楽しかった。これだけ言うと、小学生の作文みたいだけど。
本当に楽しかった。それだけでしか言えない程。
無邪気に笑う涼君、クールの夏樹君、そしてよく分からない尚樹君。
皆、遊びに夢中だった。私は考え事も忘れられていた。
なのに、帰る時になって朝の事を思い出した。
「春樹」「麗」「紗樹」そして「尚樹」という名前の記憶について。
尚樹君の顔を見ても私は分からなかった。
なぜ、なぜ名前だけを覚えてるのか。
本当に分からなかった。
尚樹君も私に「はじめまして」と言ったから分かってないと思う。
それなら、私の勘違いなんだけど。
でも、一つ 気になる事がある。
朝の涼君の「やっぱり」という顔。
あれがなかったら勘違いで済んだのに。
なんでだろうか?なにが「やっぱり」だったのだろうか?

家に帰り着いた私は、考え事が続いた。
前の考え事から、朝の名前だけの記憶についての考え事も増えてしまった。
何がなんだか分からない。
私から見る夏樹君の特別の意味。
無邪気に笑う笑顔と心からの笑顔の差。
そして「春樹」「麗」「紗樹」「尚樹」という名前だけの記憶。
考え事を忘れる為に遊びに行ったのに。
なんで考え事 増えてるの?もう私が分からないよ………。