「ごめんね、優真君。」





放課後の、図書室。



いつも一緒に勉強する岩崎さんが、俺に向かって手を振っている。



華奢で背の高い、岩崎さん。



もうかれこれ、4年ほど一緒に勉強しているが、その姿と性格は、変わっていない。





「大丈夫、俺もまだ着いたばっかだし。」



「でも、暑かったでしょ?」



「気にしないでよ。」




相変わらず、優しくて謙虚な岩崎さん。



着いたばっかりでなくても、つい、そう答えてしまう。