ピタッ、と沙希の動きが止まった。

「…えっ?」

「お前、沙羅様なんだろ?」


沙希が後ろに一歩下がる。
動揺しているのか、体が震えていた。


「何で…。」

沙希の震えた声が辺りに響く。

「今日、大学で沙羅様の姿を見たんだ。」

俺の答えに「そっか…。」と沙希は小さく呟いた。


否定がない

じゃあ、本当に姫なんだな


「…多分、城の人が心配しています。早く戻った方が「止めてっ!」