私は諦めて、保健室に背中を向けた。

「あ・・・れ?」

気付いてしまった。
先ほどの女子生徒の
甘い蜂蜜のような声が止まっている。

どうしたんだろう。
てか、なんか関わりたくない・・・


帰ろうとして歩こうと足を出した。

その瞬間――・・・


「お前、やっぱつまんねェ」
低く、やけに色気のある声が聞こえた。

間が空いて、
女子生徒が金切り声を上げた。


「あたしのどこが駄目!?」とか、
「先生が大好きなのに!!」とか。

まぁ、とにかく修羅場なわけで・・・
逃げようとした足が
固まって動かなくなった。

あまりにもリアルだったから。


恐怖ゆえだったんだ。