そう言ってバッグからライターを取り出し、蓋を開けて火を燈した。
「良かった、何か気になってて…」
「ハハハッ優しんだ!えっと…」
「あっ自分、ラスクって言います」
「ラスク?あっラスクさんって名前なんだ、私は…」
「ナヅキさんですよね。」
「知ってるんだ、私の名前!」
「何度かお見かけしてるので…」
彼女の携帯から着メロが流れた。
「ごめんなさい。ちょっと良い?」
言い終わらない内に彼女は携帯を開けた。
携帯の画面を見ながら、少し微笑んだ彼女は先程と同じ様に両方の親指を器用に使って携帯を打ちはじめた。
「ごめんなさいね。SNSにコメ来たから」
笑顔でそう言った。
「えっと…あっラスクさん、ラスクさんってSNSやってます?」
「SNS?いやっ、やってないですけど…」
「そっかぁ、やっていれば戦友さんになって貰おうと思ったのになぁ〜」
また、着メロだった。
「ホントにごめんなさいね」
そう言ってまた携帯を開き今度は長い時間携帯と格闘していた。
「では。」
それだけを言い彼女のそばからそっと離れ、ホームを後にした。