お互いにインカムを繋げていたが、無音の時が暫く続いた。
「あっ」「あのぉ」二人同時だった。
「えっなんです?」
彼女の言葉が続いた。
「いえ、あの、こないだ、ナヅキさんが言ってたSNSに…」
「SNS入ったの?」
「はい、招待サイト見たいなのがあって昨日入りました」
「招待サイト?なにそれ?」
「何だかわからなかったけど、パソコン見てたらあったから」
「へぇ〜そうなんだ…」
彼女が照れているのか、自分の会話の質が悪いのか、想像以上に会話は弾まなかった。
「今日帰ったらナヅキさんのページ見に行きますね」
努めて明るくそう言った。
「ははっ、対した事書いて無いけどね」いつもとは少し違う低いトーンで彼女はそう答えた。
その言葉が終わるか終わらないかの瞬間に、マッチングが決まり会話は完全に途切れた。