「めんどくさ…」 思わず呟いてしまった。 ケイタイを閉じて、歩き出す。 母親からの電話。 買い物の依頼。 またか、って感じ。 あいつが帰ってくる日は、いつもそう。 あの人は張り切って料理をする。 そして、必ず何かを買い忘れて俺に頼む。 普段作らないようなものを作ろうとするからだよ。 無理もないけどさ。 あいつは 自慢の息子、だから――