小学校を卒業するまで、俺はひなたを避け続けた。
あれだけ一緒にいた俺たちが急に離れたことに周囲の誰もが驚いていたけど、“思春期”という便利な言葉で片付いた。
顔を合わせる度に泣きそうな顔で見つめてきたひなたを、俺は見ないフリをした。
その度に胸が苦しくなったし、ひなたが隣にいない生活は寂しかったけど、なんとか我慢した。
これが最良の方法だ、と俺にはわかっていたから。
俺は、敵わないから。
あいつは何でも完璧で、
優秀で有望な期待の星。
同じことをしても、うまくできて誉められるのはいつもあいつのほう。
俺は、存在自体があいつの“おまけ”だから。
だから、もし
俺があいつと同じものを欲しがったとして、
それが一つしかないものだったら、
手に入れるのは、確実にあいつだ。
どんなに頑張ったって、俺は敵わない。
だったら最初から、
同じものを欲しがらなければいい。