ひなたは、完璧に“内弁慶”だ。


あり得ないくらいに人見知りが激しくて、

人の好き嫌いが激しくて、

人前では、まるで“借りてきた猫”のようにおとなしい。


なかなか人に心を開かない。


でも、一度気を許してしまえば、本当の姿を惜しげもなくさらけ出して、それこそ猫のように甘えてくる。

そして、かなりのワガママっぷりを発揮する。


……たぶん、みんなは知らないだろうけど。


一見“おとなしくて控えめで可愛らしい女の子”。


だから、小さいときからよくモテていたけど、それはあくまで表向きの姿。

きっと、郁は未だに知らないと思う。


知っているのは、

家族と友達と…俺くらい。



“幼なじみ”の俺は、ひなたにとってよき理解者であり、ワガママをきいてくれる“家族”みたいな存在だったんだろう。

いくつになっても、俺の傍から離れようとしなかったんだから。


このままじゃいけない。

そう思ったから、離れたのに……


「私を、朔ちゃんの彼女にして?」


あの告白が、すべてをぶち壊したんだ。