修夜が言う。

理月はあからさまに詰まると約五秒後、言葉を発した。


「あ…う…いや…ねぇ?」


……訂正…困ったように日本語が成り立っていない。
修夜は当然呆れていた。

「ナニ…?お前もしかして英語だと思ったのか?」

意地悪そうに修夜はニヤリと笑った。
この笑いには理月にも見覚えがあった。

修夜が理月に精神面から苛める時の笑いだ。

「まぁ、お前英語の成績最悪だもんなぁ?俺の高校時代の半分にも満たねぇしなぁ?
まったく、俺と同じ高校通っててよくこんなに差があんなぁ?」

毒舌……理月がはじめて毒舌と言う言葉を知ったとき、
修夜が象徴だと思った言葉だ。
そして今尚、その考えは訂正されず言われた直後即頭に浮かんだ言葉だ。

しかし理月もやはり反撃する。


「そんなの!!昔と今は難易度が違うじゃん!!
昔のほうが簡単だった場合も十分ありえるじゃん!!」


確かに理月の言い分も一理有る。
しかし修夜はそんな理月が及ばないほど、一枚…いや、十枚ほど上手だった。


*