『おかしいでしょ?もとはと言えば戦争だって人間が人魚をさらったからなのにね』


淡々と話すのを黙って聞いているロイ。


「………。」

『ロイは殺された。私のせいで…夢にね、ロイが出てくるの。もっと生きたかったって。』

「………。」

『私が、私が代わりに殺されれば良かったのになぁ』

ラルスの頬に一筋の涙が伝った。

「違う!」

――――――――ビクッ



ロイが大きな声を出した。


「ロイは…兄ちゃんはラルスのことを愛していた!」


にい…ちゃん……?


『……どうゆう…こと?』

「俺の本当の名前は、マオだよ。」


マオ…ロイの弟……?


「兄ちゃんは村の人たちにいくら否定されたって君を庇っていた…。ラルスが代わりに死んだら…?そんなの、兄ちゃんが悲しむに決まってるだろ!」