『……ラルス』
「ラルス?」
『そうよ。名もない私にあの人がそうつけてくれたの』
†‐‐‐‐‐‐‐‐†
あの頃の私はロイをすぐに信用できた。
当時私は幼かったか ら…もしかしたらこの人間はいい人かもしれないと…
それからロイに、すぐ恋に落ちた。
海の生き物達はみんなラルスの選んだ人ならば…
と嫌いな人間でも応援してくれた。
でも、人間側は違った。
誰も私達がうまくいく事を願っている人なんか誰一人として、いなかったのだ。
それでもロイは毎日私に会いに来てくれて、話をしてくれて、私は“明日”が好きになった。