しばらくの沈黙が続いた後

文香は遠慮がちに私の顔を見る

「…大丈夫?」

どういう意味かを理解するのに
思った以上に時間がかかってしまった


私の頭が大丈夫?っていう意味?
それとも
………-?

「うん。
たぶん正常だと思う。」

返事を返しても文香はまだ心配そうで

「…無理しないで、なんでも話してよ?」

そう言って肩に置かれる温かい手


私は何も言わずにただ頷いた


私の過去や芳史が居なくなった後のこと

すべてを
文香は知っている

そして支えてくれた

大切な親友


でも

胸に生まれたこの複雑な気持ちは
どうしても話すことも
消すことも
認めることもできなかった