軽く乾杯して
一息つく

「でも、急に飲もうだなんて
一体どういう風の吹き回し?」

佃煮をつまみながら
文香が覗きこんだ


「あのさ。
芳史に…そっくりな男の子が
隣に引っ越してきた。」


「!?」


私の言葉に完全に静止する文香

箸に挟まれていた佃煮は
カウンターに落ち

何も掴んでない箸が
文香の口の前で彷徨っている


「…マジで?」


「…。」
黙って頷く

「雰囲気が…とか
部分的にとか…そういうのじゃないの?」


「性格とか話し方は全然違う。
でも…姿かたち…外見はそのままなんだ。」


私の言葉に文香が押し黙った