「君、名前なんていうの?」


そういいながら、その人は直樹の部屋に足を踏み入れた。


私は、その人と同じ距離だけ後ずさる。


「えっと…白羽星蘭です…」


おそらく、この家の人。


というより、直樹の兄弟かなんか…。


「星蘭…"ちゃん"か。珍しい名前だね」


「い、いえ、まあ―…」


また私は苦笑い。


下手に何も言えない。


年上っぽいし、余計に変に。


それに。


この人、すっごい迫ってくる。


「星蘭"ちゃん"って、あいつの彼女?」


な…っ。


いきなり聞いてくるか、それ!!


「まあ、一応」


フリだけど。


「…一応?」


「え、いや!直樹のれっきとした彼女です!!」


「…ふーん」


そういいながら、また口角を上げた。


な、何企んでんだ!


少しそういう表情は、直樹に似てる。


…絶対怪しい。