― 星蘭 side ―


直樹が行ってから少しだけ時間が過ぎた頃。


―カチャ


ドアノブに手をかけた音がした。


静かだからか、そんな小さな音に敏感になる。


だが。


なかなかドアが開かない。


と思ったら、ほんの少しだけ。


目が見えるぐらいの幅だけ開いた。


おそらく外には、飲み物を取りにいった直樹がいる。


「…何してるの?」


「…」


返事がない。


「直樹?返事ぐらいしてよね」


「…」


また返事がない。


あ…もしかして。


私が部屋を探ってないか確認してる?


「別に私、何もしてないってーあはは」


「…」


またまた返事がない。


私の変な笑い声が、響くだけ。


…ねぇ、ちょっと。


喋りかけてるのに。


返事なしってどういうこと!?