「本番さながらの雰囲気でやんねーと、意味ないってこと」


「ほ、ほ本番!?」


「そ。本番」


「本番って何するつもり!?」


さあな、と少し笑いながら立ち上がる。


さあなって…。


あームカつく!!


完全に直樹の手の平の上で転がされてる。


なんか嫌!


「俺、なんか飲み物入れてくるけど、何がいい?色々あるけど」


「じゃあ…アイスティーがいい」


「ん。すぐに帰ってくるから、部屋を探るとかやめろよ」


後ろを向きながらドアへと足を進めた。


「そんなの言われたら、余計に探りたくなるじゃん」


いつものお返しに、ニヤリ顔を嫌がらせにしてやった。


「絶対やるなよ!」


はいはい、と軽く笑いながら返事をする。


それと同時に部屋のドアが音を立てて閉まる。


広い部屋で一人。


人の家だということもあるかもしれないけど、なんか落ち着かない。


探ろうなんて気もおきない。


とりあえず。


治すためにどうするか。


考えておこうかな。