顔も身体も、猛烈に熱い。


私の両手首は直樹の片手によってしっかりと固定されていた。


「じゃあこれならどうするかな…」


そこそこの距離にあった顔が、私に近付いてくる。


もしや…。


いや、もしかしてじゃない。


絶対。


絶対にキスするつもりなんだ…。


「ぃやっ…」


私は少しだけ動く首を、力の限り振りまくった。


必死の抵抗。


だが。


「…っ」


もう片方の手で、私の顎を押さえる。


「そんな小さな抵抗で、俺に敵うと思うなよ?」


口角を少しだけ上げた。


だめ…。


頭の中はもうぐしゃぐしゃで―…。


記憶が駆け巡る。


いやっ…だめ…。


思い出したくない!