でも―…。


「家じゃなくてもいいんじゃない?駅前の「いいから、来いって!ほら!」


「えっ!!」


私の手を強引に引っ張って、私を駅とは逆方向に歩かせる。


この私が直樹に引っ張られる形。


ここ数日で何回あっただろうか。


「…まあ行ってあげてもいいけど」


そう小さく呟いただけだったんだけど。


「マジ!!」


そういいながら、赤く頬を染めて笑っている直樹の顔が見えた。


なぜか、私まで赤く染まる。


なんで赤く染まってんだ、私!


「家、どの辺なの?」


「家?あれ」


直樹が指差したところ。


「本当に…?」


「え、マジであれだけど?」


そこは、丘の上。


そして、丘の上に立っている大きな白い家だった。