3人の視線が、政也に注ぎ込まれる。


政也が優勢だった空気はもうなく、星蘭らが優勢になった。


「ねえ、政也」


「何」


「直樹はね。キス恐怖症を認めてくれてるの」


「は?マジで」


驚いた顔で、直樹の顔をまじまじとみた。


「うん。マジで」


頷き、冷静に答える。


どうせ。


どういう神経してんだとか思ってるんだと思う。


政也は、意外と顔に出るタイプだからよく分かる。


「それに、それを治そうとまでしてくれてる」


「…っ」


自分とは違う価値観に、言葉がつまる。


「あと。私が、キス恐怖症ってこと、バラしたら私も貴方の秘密、バラすから」


「なっ…ってか、俺に秘密とかねーし」


星蘭の"秘密"という単語に敏感に反応する。