「私たちは、もう3年前の話。別れようって言ったのはそっちなんだから、ちょっとは気を使ってよね…」


中学3年の春休み。


私たちは、別れた。


理由は、もちろん。


…キス恐怖症でね…。


別れる前に、高校受験が終わっていた。


だから、最悪なことに同じ学校。


顔も見たくなかったのに。


話したくもなかった。


クラスも違い、校舎も違っていたのが不幸中の幸い。


だって。


…だってね。


――私は、こいつのせいで恋に臆病になったんだから。


私、今どんな顔してるんだろう。


怒ってる?


悲しんでる?


ううん。


とっても切ない。


多分、そんな顔をしてる。


別れたけど、これでも政也のこと好きだったんだから。


今は、キスできない女には価値がないと思ってる、ただの女たらしにしか見えないけどね。