さすがに前に進まない私に気付いた2人。


「…星蘭?」


「どーかしたのー?」


2人はひょこっと、星蘭の横から顔を覗かせた。


はてなを浮かべる直樹。


そいつを見て、はっとする莉子。


「星蘭。久しぶり」


そいつが、星蘭の名前を呼んだ。


なんで…。


「…なんで…"政也"…」


顔も見たくなかったのに。


同じクラスでもなかったし、校舎も3年間違う。


なんで今日に限って会うの?


私は、一本前に足を踏み出す。


「あいつ…佐塚政也(サヅカ マサヤ)?」


「やっば―…すっごい最悪な状況だよ、これ」


顔がひきつる莉子。


「なんで?ってか、あいつ俺と同じクラスだぜ」


「率直に言うと―…」


2人の間に、よくわからない空気が流れる。