「もうっ!り――こ―――おっ!」


赤くながら、莉子を睨む私。


「あはは、ごめん。大きく言い過ぎた」


少し笑いながら、謝る。


クラス中が笑いの渦に包みこまれた。


うん。


なんか、私がDカップとかいう噂がクラス中に広まってしまった。


でも、とりあえず。


私がキス恐怖症だっていう噂じゃなかった。


キス恐怖症って知ってるやつなんて。


直樹と―…"あいつ"ぐらいなんだから。


キス恐怖症が皆にバレたらどう思われるだろう。


考えるだけで、ぞっとする。


でもね。


今から治していくんだから。


大丈夫。


―キーンコーン
カーンコーン


朝チャイムが鳴り響いた。


また今日も一日が始まる。


普通一日…で、あればいいのだが。


まだ、今日が普通一日じゃなくなることを知るよしもなかった。