直樹の手を掴んでいた手の力を強くした。


「こっちの身にもなってみろって、それはこっちのセリフだよ!」


「なっ…」


「一体なんなの!?期待ばっかりさせて!」


あれ…?


「直樹を好きなのは私の勝手だけど」


私、何言ってるの?


「離さないとかいうわりに何もそれ以上答えてくれないじゃない!」


止まらない。


勝手に口が喋る。


「本当は全然大丈夫じゃないんだから!!大丈夫じゃないのはこっちなの!!」


これ。


全部本心なんだよ。


もう押し込めて押し込めて、ぱんぱんだった心の引き出しが壊れたみたい。


直樹をせめるような言葉ばかりが口に出る。


答えはいらないとか言ったけど。


やっぱり不安なんだよ。


行動と言葉が一致しない。


そのことが知らず知らずに自分を追い込んでいた。