私は直樹の中でもぞもぞと動かす。


だが、さすが男子だ。


私を簡単に動けなくしてしまう。


それも痛くなく、軽く優しさのこもった力によって。


「…離し「離さない。もう離すもんか」


少しだけ力が入る直樹の腕。


"もう"…?


ああ、まただ。


また都合のいいように考える。

私は動こうとするのをやめた。






……ちゃんと言おう。


ちゃんと、好きだって言おう。

それがけじめというもの。


私はずっと直樹に言ったらダメだって思ってたけど。


それこそが、だめなのかもしれない。


言わないと、ちゃんと終われない。


言わないで後悔するなら。


言って後悔するほうがマシ。


そんな気がする。


いや、そうなんだ。