だから。


今のうちに言うんだ。


―――――だって。


「でもわかって良かった」


「うん、直樹のおかげ!」


「だから俺は何もやってねーよ」


「ううん!本当に直樹のおかげだよ?」


本当に本当の本当。


直樹に会えただけで、わかったようなもの。


原因がわかった。


でも、治ったとはいえない。


たとえ治っていなくとも、好きな人とキスできれば十分だ。


「それでね」


私は、直樹に真剣な眼差しを向けた。


だが、すぐににこりと笑い。


「もう私は大丈夫だから。本当に頼りに"なった"し、支え"だった"!長い間付き合ってくれて、ありがとう」


そう言った。


嘘。


嘘だらけの言葉。


綺麗事を並べただけの言葉。


胸が苦しい。


必死の作り笑顔。


でも、笑顔で言わなきゃ、心配屋の直樹が安心できない。