花火は何千発も夜空を染めあげる。


最後は、大きな拍手や歓声と共に終わった。


ここからでも少し聞こえるほどだ。


「あー終わっちゃたー」


私は、うーんと背を伸ばす。


「来年もここでやればいいのにな」


「どこになるかわかんないもんね」


来年、もし何処でやることになったとしても。


一緒に見たいと思うのは強情かな?


「それでさ、原因はどうだった?」


「えっと…」


本題に戻された。


言いたくない。


終わらせたくない。


でも、言わなくちゃ。


ただ直樹を縛りつけておくのは、自分勝手だ。


「言いにくかったら別に言わな「大丈夫!」


大丈夫。


そう、大丈夫。


「ちゃんと言うね」


私はどきどきが止まらない胸に手を当て落ち着くように。


そして、直樹の目を見た。


「私がキスできなかった原因は―……安心感にあったの」


「安心感?」


意外な答えに、とっさに聞き返してくる直樹。


ちゃんと隠さず。


全部思ったこと、事実を話さなくては。