屋上にいるせいか、夏の夜が少しだけ涼しく感じる。


暗い中、花火が上がる方向の手すりに腕を乗せて、その上に顎を乗せる。


屋上から見る夜の景色。


「綺麗―…」


「そうだな」


そう肯定しながら、私の隣まで歩いてくる。


なんだかいい雰囲気。


二人っきりでの夜景。


暗いから顔が赤くなっても、そんなにばれないし。


「星蘭」


「ん?何?」


私たちはお互い景色…いや、遠くを見たまま話す。


「キス恐怖症のほうはどう?」


「あ、ああー…」


――いきなりきたか。


直樹と会うことになったときから。


もちろん覚悟していたことだったけど。


話すべきだよね。


たとえ。


どんな結果になったとしても―…。