― 星蘭 side ―


本当に凄い人。


この手を離してしまったら、もう会えないかもしれない。


なんて思ってしまうほど。


だから少しだけ直樹を握る手に力が入ってしまう。


しばらく歩くと、屋台が見えてきた。


まさに"夏祭り"っていう雰囲気だ。


人も、屋台に行く人と花火の場所とりに向かう人とで分裂。


少し楽に歩ける状態になった。


「やっと人混み抜けたな―…」


「だね…人で疲れた」


お互い、この人混みに疲れ果てまして、偶然空いていたベンチに腰を下ろした。


「あのさ、私、浴衣似合ってる?」


「え!?」


直樹は驚いてこちらを見たが、顔を赤らめ視線を逸らした。