― 直樹 side ―


一人になった教室。


なんだったんだ、あの野々宮の応援。


いきなり何かと思えば。


それに根拠もなく"絶対"とか―…。


「…絶対とか期待しちまうっつーの…」


俺は頭をかく。


でも。


"勇気を出せば、叶うよ"


勇気―…そうか。


星蘭に告白できないのは勇気がないからなのか。


ずっと、星蘭に好きな人がいるからっていう理由を盾にしていた。


そんな盾は勇気の剣で砕いてしまえばいい。


今だからこそ、よくわかる。


勇気を出す。


星蘭には幸せになってほしい。


もちろんそう思う。


だが、俺だって一人の男。


奪うぐらいの気持ち―…いや、奪うつもりでいかないと。


フラれたならそれでいい。


とりあえず。


勇気を出して当たって砕けろってことだな。


野々宮、ありがとうな。


俺も、学校を出て家路についた。