神谷くんは、静かに話を始めた。


それを真剣に聞く。


「あいつ…好きな奴がいるみたいなんだよ…」


「…………え?」


……つもりだったが、この状況で真剣に聞けるわけがない。


「だから告白しずらいというか―…」


私は顔を下に向け、頭を落とす。


「もしかして野々宮聞いてなかったのか?」


そう私が落ち込んでいるように見えたみたい。


だが。


そうじゃない。


私が顔を下に向けた理由は―…。


「ふふふっ…面白すぎでしょ…」


と聞こえないように呟く。


そう。


笑い顔を隠すため。


だって―…。


星蘭の好きな奴は神谷くんなんだから!


何このすれ違い。


告白しずらいもなにもないといいますか―…。


そのお互いの鈍さがツボにきたといいますか―…。


「くくっ~…っ」


ばれないように笑いをこらえるのに必死で。


バカップル決定だね、これは。


なんて心の中で思うと、余計に笑いが込み上げてくる。


また堪えるので必死になった。