「ところで、キス恐怖症は治りそうなの?」


「え?」


いきなりの質問に脚が一瞬止まってしまう。


「深い意味はないんだけど、私も協力できるところはしたいしね」


と、私に向かってウインクをする。


進展は―…あった。


直樹には話してないけれど、あの観覧車のキスのとき。


わかったことがある。


そのあとから、ずっと考えて気付いた。


「……私ね、多分直樹以外の人とキスできないと思う」


「ん…ん?」


意味がわからなかったのか、はてなを浮かべる莉子。


「私、直樹とはできたんだ。でも、春樹くんとはできなかった」


あの遊園地のときのことを話した。


いきなり春樹くんにキスされて、あの日を思い出したこと。


観覧車で直樹とキスできたこと。


話すのは恥ずかしかったけど。


莉子に隠しごとはしないって決めたんだから。


それに。


今からの話は、直樹じゃなくて莉子じゃないと言えない。


じゃないと。


直樹に私の気持ちがばれてしまうから。