― 直樹 side ―


―ガシャン


俺は、しゃがんで出てきたジュースを取り出す。


「あー何やってんだ俺…」


そう小さく呟きながら、頭をかく。


頭が自然にがくりとうなだれる。


いきなりキスとか。


観覧車で2人っきりで密室。


そんな状況で、理性ぶっとばない男なんていない。


―…はずだと信じたい。


でも。


キス恐怖症の星蘭が、キスできてた。


俺からの強引なキスだったが。


それでもいつものようにはならなかった。


なぜだ?


さっき春樹にされたときは、ダメだった。


そりゃ嬉しい。


キスができるようになるのが目標だったんだから。


……けど。


その目標が達成された時。






―――それが俺達を繋いでいる糸が切れる時だ。