私の身体は一瞬にして硬直した。


それに、何が起こったか把握するのに数秒かかった。


でもすぐにその甘いキスに身体の力は抜けていき。


直樹に身を委ねた。



……"キス"してる。


私、直樹と"キス"でき…てる?


唇が触れたんじゃない。


唇が重なった。


キスって言えるキス。


私の頭の中は真っ白になる。


恥ずかしくて…でもすっごく嬉しくて…。






私たちの唇が離れた。


と同時に私たちの乗っているゴンドラの鍵がカチャリと音を立てた。


私たちとドアを開けた係員の目が合う。


その瞬間、係員の頬が少し赤くなり、視線がずれる。


「ど、どどうぞ足元に気をつけてお降りく、くください!」


その係員の行動と言動で私は我に返った。


そうだ。


私、今。


直樹に抱きしめられてるんだった―…っ!