「ん。そっか」


そう優しく答えると。


直樹は私から視線をそらした。


……もしかして勘づかれた?


と思ったが、そうではないみたい。


「誰なの?そいつ」


そう聞いてきたのは紛れもなく直樹なわけで。


「さっき、いるかいないかだけでいいっていったじゃん」


「気が変わった」


「何それー!?言わない!絶対言わない!」


私もぷいっと横―…いや、視線を下に戻した。


「気になる」


「知らない!誰でもいいでしょー!直樹だって誰かわかんないじゃん」


じゃないと不公平。


って思ったが。


……ううん、私は絶対言わない。


絶対言えない。


また私の頬は熱くなった気がした。


あー前向けない。


色々な意味で、顔が上げられない。


そんな私の気持ちとは裏腹に。


「星蘭、気になる?」


と、ニヤニヤした直樹が私を覗き込んできて。


「うわっ!」


私はびっくりして跳ねたため、また観覧車が揺れた。


いや―…っ。