そんな直樹を見て、高所で緊張していた身体が緩んでいった。


ああ。


やっぱり直樹といると落ち着く。


そして、"安心"できる。


隣にいる、この微かに触れる温もりが心地好くて。


ずっと一緒にいたい。


なんて、思ってしまう。


そうなことを思っていると、私たちはもう頂上へと辿りついていた。


安心できるとはいえ。


高所が怖いのとはまた違う。


だから景色を楽しむことは……やっぱりできない。


それを気遣かって、景色については触れてこない。


頂上から下降。


直樹はまだ頬の赤みが消えないうちに、また口を開いた。


「星蘭は、好きな奴いねーの?」


「えっ…」


「俺だけ話すのはずるい」


ずるいって…自分から話したんじゃん!、なんて思ったけど。


話すしかないみたいだ。