「でもその子は恋することに対して傷を持ってて。なかなか難しいんだよな。なんかすぐ壊れてしまいそうで」


あー恋って複雑で難しい!、なんて後ろに手を組みながら後ろにもたれた。


「ふふっ」


私は無意識に口から小さな笑いが零れた。


「……なんだよ、その笑いは」


「いや―…」


今胸が痛いことには変わりない。


けど。


今、私が引き止めてしまっている直樹が恋してるのなら。


幸せになれるのなら。


――私はそれでいいのかもしれない。


100%それでいいなんて言い切ったら嘘になる。


でも、それは私がどうこういうことではない。


ただ。


今、私が幸せなんだから。


そのお返しをしなければ。


「なんか今の直樹、可愛いなって思って」


「なっ…可愛いってなんだよ!」


なんて照れながら頬を赤く染めた。