お兄さんと春樹くんは見えなくなった。


なのに、まだ走る直樹。


「直樹!どこ行くの!?」


「いいからー」


問いかけても、いいからーの一点張りで。


仕方なく、そのままついていく。


でも、しばらくすると。


ある乗り物の入口に着いた。


「何名様でしょうか?」


「2名で」


「こちらにどうぞ。足元にお気を付けください」


乗り物のお姉さんが誘導する先には。


「え、ちょっと待って!」


私は直樹の腕を引っ張って乗ろうとするのを止めた。


あの大きくて回るものといえば―…。


そう、観覧車だ。


止められきょとんとした直樹が私のほうを振り向く。


だって―…っ。


「…私、高「いいから!話は後で。乗るぞ」


私の話を聞かない直樹に。


強引に観覧車に乗せられてしまった。


どうしよう。


私、高所恐怖症でもあるんだけど。