直「星蘭さ、まだ時間大丈夫だよな?」


「あ、うん!特に用事とかないし―…」


直「よし」


とにこっと笑うと同時に私の手をとって立ち上げた。


「え?何な「じゃあ、兄貴と春樹。星蘭はもらってくから」


…え!?


と思っている間に、私は直樹に手を繋がれて走っていた。


「ちょっ…」


私が後ろを振り向くと。


樹「あ!こらーっ!直ちゃ――ん!!」


春「星蘭さーん!また今度ねー!その時は2人で!」


そんな2人の声と姿が次第に小さくなっていく。


あの二人―…。


――やっぱりなんがか弟みたいだ。


なんだか笑いがこぼれてしまう。


「ふふっ」


「…なんだよいきなり…」


私を引っ張りながら、不思議な顔をする直樹。


私は首を横に振り。


「ううん、何でもない」


なんていいながらも。


また笑いそうになる私。


さっきの気持ちは消えて。


今は直樹の温かい手が。


私の不安な心を溶かしてく。


やっぱり。


直樹といると安心できる。


人を好きになるって。


恋をするって。


―――本当にいいことだ。