「なるほど…だからキス恐怖症を治すために付き合ってるフリをしてるわけか」


腕を組みながら、うん納得、と首を縦に何度か振る。


「そういうこと。わかったか?もうこれでいいだ「じゃあ、"星蘭を守って、嘘を本当に"ってのは何?」


「………え」


固まってしまう俺。


それに、なぜか冷や汗が。


「それが一番気になるんだけどー」


……とは言え。


さすがに言えるわけがない。


というより、言いたくない。


「なんでもいいだろーが。秘密、話したんだから」


「え―。……まあいいけどさ」


大体予想はつくし、と心の中で思っている春樹だった。


「じゃあ、戻るぞ」


「はーい」


「春樹、絶対誰にも話すんじゃねーぞ?兄貴(樹)に漏れた瞬間、殴りにいくからな」


「……わかってるよ」


念には念を。


星蘭と兄貴がいるベンチまで着くまでは。


「絶対言うなよ」という言葉を言い続けた。


これが、吉とでるか凶とでるか。


わからない。


だが、キスされる心配はなくなった。


それだけでも、星蘭のためになったのかもしれない。