「春樹」


俺も、星蘭にはもう苦しんでほしくない。


……だから。


「話すよ、俺らがなぜ"一緒にいる"のか」


「ああ。絶対、星蘭さんのために」


俺と春樹は隣どうしで壁にもたれながら話をした。


なぜ、星蘭がああなったのか。


キス恐怖症のこと。


俺らは付き合ってないということ。


なぜ、俺と星蘭が一緒にいるのか。


さすがに星蘭が好きとは言わなかったが。


それ以外は話した。


すべてと言ったら嘘になるかもしれないけれど。


ちゃんと話した。


春樹は意外にも真剣に聞いてくれて。


俺も真剣に話す。


真面目な春樹を見ることなんて滅多にないが。


なぜかこの時は、信じられる気がた。