「星蘭、落ち着いたか?」


「うん、大丈夫」


私には優しい声をかけてくれる直樹にほっとする自分。


でも。


やはり春樹くんのことが気になる。


どういう行動に出るのか検討がつかなくて。


今、私たちを問い詰めるのか。


黙っておくのか。


それとも。


とぼけるのか。


何を考えているかわからない春樹くん。


直樹と一緒に帰りたい。


でも、何か感づいてしまった春樹くんと何も知らないお兄さんを2人きりにさせておくのは。


もっと危険だ。


そんな時、直樹が行動に出た。


「兄貴。悪いけど星蘭をちょっと頼む」


「別にいいけど、僕と星蘭ちゃん2人きりで心配じゃないのーっ?」


「今はそれどころじゃねーんだよ。春樹、ちょっと来い」


そう言うと、春樹くんの腕を掴んで、どこかへ歩いていった。


どうする?


とても心配だけれど。


直樹。


――私、信じてるからね。