「っていうか!春ちゃんずっと黙っちゃってるけどどうしたのーっ?」


と、春樹くんの顔を覗き込む。


だが、視線を合わせようとしない。


それにやはり話さない。


これを幸運ととるべきか否か―…。


「星蘭ちゃん、一緒に走ってたから何か分かるんじゃないっ?」


「え!?」


私は驚いた顔をして、下げていた顔を勢いよく上げた。


「星蘭ちゃんが倒れてから、あの春ちゃんが喋らないし、意識がどっかに行っちゃってる感じなんだもんっ」


…それは私のせい。


キスしただけで、大事になってしまったのだから。


でも。


言えない。


だから。


「私が倒れる前は何も変わってなかったですし、倒れてからは覚えてないです―…」


「そっか―…」


と、うやむやにするしかできなかった。


「話してくれたらいいんだけど喋ってくれないからさーっ」


と、いつも笑顔のお兄さんが少しだけ顔をしかめた。