「もしかして…今の"キス"が原因か…?」


"キス"。


「いやぁっ…」


…また記憶が鮮やかに蘇る。


落ち着きかけていた私は、また鼓動が荒く、速くなる。


「お、おい…」


いやだ。


キスなんて嫌。


だいっきらい。


「…原因がまさかこれとは…ごめん」


さすがに悪いと思ったのか、星蘭の背中をさすりながら素直に謝る神谷。


…もう、この状況。


キス恐怖症のこと、隠し通せるわけがない。


背中をさすってもらったからか、落ち着きを取り戻す。


「…もうわかったでしょ」


「え…わかったって…」


「私ね…"キス恐怖症"なの」


あーあ、言っちゃった。


誰にも一度も言ったことなかったのに。


まさか、この神谷直樹に秘密を握られることになるとは。


今日は最高で最悪な日だ…。