ここはまず落ち着いて。


落ち着いて。


動揺するとバレる。


最悪、本当は付き合ってないということはバレてもいい。


ただ。


ただ、私がキス恐怖症であることだけは―…。


それが問題だ。


「ちゃんと付き合ってるよ?」


「ホントに?」


「本当。だって、本当じゃなかったら付き合ってる意味がわからないじゃない?」


付き合うといったら好き同士。


私たちは、違う。


ただ、私が直樹のことを好きになってしまった片思い状態。


この前はこれでごまかせた。


でも。


「何かさ…"契約"とかしてたら有り得ない話じゃなくない?」


私と直樹の関係に突っ掛かってくる。


それに。


春樹くんの顔が、勝ち誇った顔をしていて。


なんだか、背筋がひやっとする感覚に陥った。