「ん―…わかんない…です」


「わかんないのー?」


わからないというより。


決められないと言ったほうがいいのかもしれない。


「あえてどこって言われると、難しいです」


優しいところ?


鼻筋が通っているところ?


意外に可愛い部分があるところ?


ミスター聖南に選ばれたところ?


私のキス恐怖症を治すと言ってくれたところ?


「多分、直樹のどこかが好きなんじゃなくて―…」


私は。


「私は、"神谷直樹"が好きなんだと思います」


私の真剣な眼差しに、2人の顔も引き締まっていた。


「なるほど―…星蘭ちゃんは直ちゃんのこと本当に好きなんだね」


こう聞かれて、今までなら嘘の"好き"という言葉を使っていた。


でも。


自分の気持ちに気付いた今。


本当の"好き"を使うことができる。


「…はい、好きです」


恥ずかしい気持ちでいっぱいで、頬が染まってしまったけど。


なんだか嬉しかったんだ。