「はぁ…はぁっ…ん…」


…いやだ。


恐い、恐い。


"キス"が恐い!!


鼓動がはやくなる。


「おい…白羽!!大丈夫か!!」


星蘭に駆け寄る神谷。


微かに見える神谷直樹の顔から、余裕はないように見えた。


背中をさする神谷。


「とりあえず…落ち着け!!なっ!」


「はぁ…っ…」


ゆっくりと落ち着いてきた。


「いきなり、どうしたんだ…?」


「な…っんでもない…っから…」


もう…なんでこうなるの?


だから、キスは嫌なんだ。


「なんでもねーわけ、ねぇだろーが!」


「…っるさい…」


一刻もこの場を去りたい。


なのに…またあの単語をあいつは発してしまう。