階段を駆け降り、恩師のもとへと向かう。


「すみません…っ!」


「直樹くん?そんなに慌てなくても大丈夫なのに」


「俺、ちょっと行かないと―…っ」


俺は恩師の返事など聞かず、走り出していた。


「直樹くん待って」


恩師の声に立ち止まる。


「落ち着きなさい。どうしたの?」


「助けに行かなくちゃ―…」


早く。


じゃないと、あいつらが何をするかわかんねえ。


「誰を?」


誰を?


この質問に俺は一瞬詰まってしまった。


彼女じゃない。


他人でもない。


でも。


「好きな人…俺の…俺の大切な人です」


顔を上げ、自信に満ちたような目で恩師に答えた。


「そうか。なら行ってきなさい。後悔だけはしないように」


「はい!ありがとうございます!」


俺はまた走った。


運転手に車を用意してもらい、星蘭たちを探しに。


何をたくらんでるかわからないあいつらが。


何かを起こす前に。


星蘭を奪い返しにいかないと―…っ!!