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「直樹くん」


「あ、はい!」


「樹くんと春樹くんは元気にしてるかい?」


「はい、もう2人とも俺の邪魔ばっかりで。あ、呼んできましょうか?」


「じゃあ、お願いしようかな」


俺はソファーから立ち上がり、2階の部屋へと足を進める。


恩師には何でも話せる相談相手のよう。


こちらに帰ってきたとき、こうやって会っている。


今、2階に上がって気付いたが。


「やけに静かだな…」


いつもなら、もう少し声がするはずなのに。


人がいる気配すら感じられない。


その時、最悪な予感が頭を過ぎった。


「まさか…っ」


俺は走って、春樹と兄貴の部屋のドアを勢いよくあけた。


が、部屋になどいるはずもなく。


ということは。


「星蘭に会いに行った…っ!」


俺はまた走った。


俺のせいだ。


俺が恩師が来て星蘭と帰れないとふんで―…。


不覚だ…っ!!