でも。


「…約束破っちゃったな…」


「ん?星蘭さん今何か言った?」


「ううん、何も」


守れなかったのは悪いけど。


悪いのは私だし。


黙っておいて、黙っておいてもらえれば―…。


それに。


何もされなければ問題はないよね?


よし。


楽しもう。


今日は楽しんで、それでおしまい。


何もない。


何もさせない。


「じゃあねーっ!まずはコーヒーカ「星蘭さん、ジェットコースター行こうぜー」


「コーヒーカッ「えー絶叫系苦手なのにー!」


「まずはコーヒ「大丈夫大丈夫ー!な、兄ちゃ……ん?」


春樹くんの顔色が変わったから、視線の先を見てみると。


「…誰も話を聞かないとは…」


怒りに満ちたお兄さんがいて。

「兄ちゃん待って―…」


「春ちゃんのバカ!!!」


春樹くんのお腹にぐーを一発入れるお兄さん。


お腹を押さえしゃがみ込む。


「いって―…っ」


「あのね!年上の僕の話を聞かないとかね、だめなんだから!星蘭ちゃんもだよ!!」


「は、はい―…」


と、怒ったお兄さんもなんだか可愛くて。


ちょっと笑いそうになってしまった。


このとき。


楽しい時になりそうな予感の隅に。


変なざわめきがあったことに、私は気付くことはなかった。